160.修禅寺物語 | ||||||
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「藤十郎の恋」は、上方和事の祖といわれる名優“坂田藤十郎”(1647−1709)が人妻との不倫の恋、密夫(みそかお)の役をするとき、演じ方に工夫がつかず、苦しんだ挙げ句、人妻“お梶”に偽りの恋を仕掛け、女の心理を観察すると同時に、間男(まおとこ)の気持ちを体験するというものです。 “藤十郎”の演じた密夫は大好評で芝居は大成功でした。そして騙(だま)されたと知った“お梶”は自害するのですが、名優“藤十郎”は平然とシラをきるのです。 “夜叉王”といい、“藤十郎”といい何か背筋が寒くなるような人物像ですが、こういう人物が功成り名を遂げるのでしょう。現代のサラリーマンの世界にも通じるものを感じるのは私だけでしょうか? なお、空海が開いたという「独鈷(どっこ)の湯」をはじめ温泉地として有名な「修善寺」は、このお芝居の外題「修禅寺物語」の「修禅寺」とは表記が違います。修善寺町には、空海が開祖だといわれる「修禅寺」というお寺があります。 史実では、頼家が謀殺されたあと弟の実朝(さねとも)が13歳にして鎌倉幕府3代将軍を継ぐのですが、16年後の承久元年(1219)、北条氏に唆(そそのか)された頼家の遺児“公暁(くぎょう)”によって暗殺されてしまいます。鶴岡八幡宮の本堂への石段の途中、ちょうど大銀杏の辺りで殺されたといわれています。その後“公暁”も殺され、鎌倉幕府は北条氏によって実権が掌握されていく訳です。 |
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