150.おうむ | ||||||
よく芝居を見ていると、この「おうむ」の演出は結構多いので、出くわすこともよくあると思いますが、以下に「菅原伝授手習鑑−寺子屋」での「おうむ」をご紹介します。 まずオリジナルは、松王丸の女房"千代"が武部源蔵の経営する寺子屋に子供の"小太郎"を預けた後(菅秀才の身代わりです)、ちょっと隣村まで用事で出掛けてくると言って、立ち去る場面です。 小太郎 「母様(かかさま)、私(わし)も一緒に行きたいわいのう。」 千代 「これはしたり、どうしたものじゃ。大きな形(なり)をしてあと追 うのか。御覧(ごろう)じませ、形は大きゅうても、まだ頑是(がん ぜ)がござりませぬ。」 戸浪 「そりゃ道理でござりまする。ドリャ、おばが良い物をやりましょう ぞや。モシ、ツイ戻ってやりなさんせいなア。」 千代 「はいはい、ツイちょっと一走り。さようなれば、いて参じましょう。」 千代が去った後、これを見ていた"涎(よだれ)くり"と千代の下男が滑稽な仕草で真似て客席を笑わすのです。 涎くり 「母様(かかさま)、私(わし)も一緒に行きたいわいのう。」 下男 「これはしたり、どうしたものじゃ。大きな形(なり)をしてあと追 うのか。御覧(ごろう)じませ、形は大きゅうても、まだ頑是(がん ぜ)がござりませぬ。」 涎くり 「そりゃお道理でござりまする。ドリャ、おばが良い物をやりましょ うぞや。モシ、ツイ戻ってやりなさんせいなア。」 下男 「はいはい、ツイちょっと一走り。さようなれば、いて参じまする。」 |
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