47.河竹黙阿弥 | ||||||
4世鶴屋南北が、文化・文政期を代表する狂言作者であるとすれば、河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)(1816−1893)は、南北から遅れること約60年、幕末から明治初期にかけて大活躍した狂言作者です。 両者とも生世話物の作者として、偉大な業績を残したという点では共通ですが、 その作風には、大きな違いがあります。 黙阿弥の生世話作品の特徴を挙げるとすると、まず第一は、洗練された「様式美」ということです。どんな殺し場でも、責め場でも義太夫や清元を効果的に利用して、舞台の絵画的な美しさに加えて音楽的にも美しくしてしまうのです。 まるで、錦絵の世界を舞台面に展開しているようにです。 第二の特徴は、そのせりふにあります。七五調の流れるように快く耳に響くせりふ。いわゆる「名せりふ」といわれるものには、黙阿弥の作品が圧倒的に多いのです。黙阿弥作品にあっては、せりふまでが音楽的なのです。 |
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黙阿弥の代表作としては、「蔦紅葉宇都谷峠(つたもみじうつのやとうげ)」、「小袖曾我薊色縫(こそでそがあざみのいろぬい)」、「三人吉三廓初買(さんにんきちざくるわのはつかい)」、「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」、「天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)」、「梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)」、「四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)」----等々があります。そして、ここに挙げた作品の主人公は、すべて泥棒か悪党です。 |
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