かぶきのおはなし  
  36.歌舞伎舞踊  
 
歌舞伎舞踊のことを、一般に「所作事(しょさごと)」と言いますが、この歌舞伎舞踊の数は、いったい幾らあるのか分からないほど数多くあります。数えたことはありませんが、恐らく、100を下ることはまずないでしょう。

 
 
この数多くある歌舞伎舞踊の分類は、歌舞伎狂言の分類と同様に至難のわざです。ちょうど幹と枝葉に加えて根っこまでが、複雑に絡みあった熱帯ジャングルに生い茂る木のようです。

それでも敢えて分類(ジャンル分け)を試みれば、おおよそ以下のようになるでしょう。各ジャンルのご説明は別項に譲るとして、ジャンルごとの主な作品だけを並べました。
歌舞伎舞踏
 
  <所作事のジャンル>
三番叟(さんばそう)物
「寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)」、「舌出し三番叟」、「操り三番叟(あやつりさんばそう)」、「廓三番叟(くるわさんばそう)」、「二人三番叟」、「五斗三番叟(ごとさんばそう)」

道成寺物
「京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)」、「双面(ふたおもて)道成寺」、「奴道成寺(やっこどうじょうじ)」

石橋物(しゃっきょうもの)
「連獅子(れんじし)」、「英執着獅子(はなぶさしゅうちゃくしし)」、「鏡獅子(かがみじし)」、「枕獅子」、「風流相生獅子(ふうりゅうあいおいじし)」

道行物
「落人(おちうど)」、「道行初音の旅(みちゆきはつねのたび)」、「道行旅路の嫁入り」「道行恋苧環(みちゆきこいのおだまき)」、「蝶の道行」、「梅川」

狂乱物
「保名(やすな)」、「お夏狂乱」、「隅田川」、「高野物狂(こうやものぐるい)」、 「賤機帯(しずはたおび)」、「仲蔵狂乱」

変化(へんげ)物
「藤娘」、「汐汲み」、「喜撰(きせん)」、「鷺娘」、「越後獅子」、「供奴(ともやっこ)」、「年増(としま)」

松羽目物
「勧進帳(かんじんちょう)」、「素襖落し(すおうおとし)」、「身替り座禅」、「茨木(いばらき)」、「土蜘(つちぐも)」、「舟弁慶(ふなべんけい)」

上記のほかにも、「椀久物(わんきゅうもの)」、「浅間物(あさまもの)」、「祝儀物」、「丹前物(たんぜんもの)」「双面物(ふたおもてもの)」、---- 等々色々あるようですが、これだけ分かれば十分でしょう。

 
   
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