7.松竹株式会社 | ||||||
江戸時代、歌舞伎役者は座元(興行主)と、1年単位の専属出演契約を結んでいたと申し上げました。 では、今日ではどうかと言うと、すべての歌舞伎役者は、松竹株式会社といわば終身雇用契約を結んでいるようです。 もう少し正確に言うと、中村梅之助(なかむらうめのすけ)を中心とする前進座以外の歌舞伎役者が、松竹と専属契約を結んでいるのです。松竹による歌舞伎役者の市場占有率は、多分90%を超えていると思われます。 ですから、国立劇場で歌舞伎公演があるときは、松竹から国立劇場(文化庁)に一定期間(普通 は1ケ月)を区切って、歌舞伎役者の「貸し出し」が行われるのです。国側は、リースで調達してきた歌舞伎役者を使って歌舞伎興行を行っているということになります。 さて、この松竹株式会社。山田洋次監督、渥美清主演の「男はつらいよ」(フーテンの寅)シリーズや、今は閉鎖の憂き目に遭った「鎌倉シネマワールド」、あるいは有楽町マリオンなどで有名です。東宝、東映と並んで、日本を代表する映画会社として有名ですが、本業は歌舞伎です。(少なくとも、私はそう思っています。) 明治10年(1877)、京都に双子の兄弟が誕生しました。兄の名が、白井松次郎、弟の名が、大谷竹次郎です。 もともとは、京都花見小路のとある劇場の売店経営主だったそうですが、明治28年(1895)京都阪井座の興行主となり、明治35年(1902)に松竹合名社を創設しました。その後どんどん発展し、やがて明治43年(1910)新富座を買収して東京に進出、大正3年(1914)伝統ある歌舞伎座を直営とし、今では歌舞伎俳優のすべてを押さえるまでに発展したものです。松竹株式会社として現在の形になったのは、昭和12年(1937)のことだそうです。そして現在では、東銀座の歌舞伎座を筆頭に、人形町の明治座、京都南座、大阪新歌舞伎座など多くの劇場や映画館を経営しています。1995年に創業100年を迎えました。本社は、東京都中央区築地の東劇ビルです。 |
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