かぶきのおはなし  
  3.跳ねる  
 
ハネる ---- 。
ピョンピョンと飛び跳ねる、というのも確かに「跳ねる」ですが、ここでいうのは、歌舞伎用語で「終演」を意味する言葉です。
国語辞典を引くと、「はねる:芝居などでその日の興行を終える」と出ています。
芝居に限らず、大相撲などでも結びの一番が終わり、弓取り式も済んで、家路へ帰ろうとするとき、「相撲が跳(は)ねたので----」などと使います。

 
 

初期の歌舞伎が、社寺の境内や河原などで興行をしていた頃の話です。流石に、雨が降っても困りますし、無銭で見物されるのも困るというので、やがて筵(むしろ)などで簡単な外囲いをするようになりました。 見世物が終われば、当然にその筵囲いをハネ上げます。そこで、芝居などの一日の興行が終わることを「ハネる」と言うようになったということです。 ただ、これには諸説があって、本当のところは昔の人に聞いてみないと分らないのです。
跳ねる
 
 
実際のところ、劇場内(幕内)では終わりのことを「打ち出す」という言い方もします。幕内では、寧(むし)ろこちらの言い方のほうが多いのかも知れません。

歌舞伎では、一幕の狂言が終わって幕が引かれるときに、チョンと析(き)を打ちますが、ここから出た言葉ではないかと思っています。そういえば大相撲でも、弓取り式が終わると、呼び出しが打ち出しの析を鳴らします。

いずれにしても「ハネる」という言い方、洒落(しゃれ)た言い方だとは思いませんか。何だか急に、芝居通 になったような気になります。
 
   
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